昔の話
人肌恋しくて手が震えるこんな夜は、前付き合っていた人のことを考えてみようと思う。
・高校生のときの部活の、2つ上の先輩。後輩の面倒見がよくて、よく後輩を集めては説法タイムを開いてた。
・高校になって初めて携帯を手にしたこともあって、レスポンスよかった先輩によく連絡を取ってた。
・何回目かに遊びにいって帰ったあと、メールで告白される。向こうは「これだけ絡んでくるってことはそうでしょ」、私は「あわよくばそうなったら嬉しいなー」的な。
・しばらく学校帰りに寄り道デートを続けてたけど、私の帰りがあんまりにも遅いっていうので私の親との関係性がギクシャクしだす。
・親が私と彼氏の間に肉体関係があるのではと疑い始めて、付き合うのへの反対が激化。彼氏が家に挨拶に来たいと言って来たけど、火に油を注ぐ結果に。
・それからは隠れて付き合い続けて、時々バレたり、私がメンヘラ病みして周りに迷惑かけたりしながら数年関係を維持。
・彼氏が卒業する時にはメンヘラが爆発して大変だったけど、それでも向こうが引き止めて、卒業後はうまく自由時間をやりくりしつつの日々。
・私が電車通学に数時間かかる学校に進学したりバイト始めたりしたことで、逆に使途不明時間が増えてもバレにくくなり、
一人暮らしを始めた彼氏の家に入り浸りながらぼちぼち過ごす。
・彼氏が日中ほぼフルタイムの仕事を始め、逆に私はもっと近くの学校に通うことになり、自由時間が取りにくくなる。
・彼氏から会いたいと言われるのが辛くなり、私から別れを切り出す。
この間、約6年。
小学生が中学生になるくらいの期間、一緒にいた人を振ったんですね、私は。
あ、だめだ気持ちの持って行き方を間違えた。
辛い、今めっちゃ辛い。
お願い誰か、メールでもラインでもいいから返事して。
とか考えてしまうあたり当時と変わらないメンヘラマインドすぎて嫌になるな…
たしか、バレンタインの半月ぐらい前だったような気がする。
バレンタインとかイベント事の日って、「親にバレないようにその日の予定に空白を作らなければいけない」「バレないようにプレゼントを用意する、もしくは当日調達する手段を考えなければいけない」「バレないプレゼントの保管場所を見つけなければいけない」「出かける前、途中、後を親とつながりある人物に見られないようにしなければいけない」「道中、帰ってからバレるような変化を起こさないようにしなければいけない」「帰ってから、そ知らぬふりをして過ごさなければいけない」というミッションを遂行しないといけないわけで、
なんだかもうイベントが近づく前から憂鬱さMAXで、
ゼミの友達に半泣きでバレンタインが辛い、会いに行きたくないって相談したら、「それはもう無理だよ」って言われたんだった。
その子と話をしたことはよく覚えてるけど、でもどうやって別れ話を切り出したかは、なんだか靄の向こうのことみたいに霞んでる。
好きだった。
私のことを絶対に嫌いにならないで、ずっと手を離さずにいてくれるところが。
状況的にもそうだし、私だって不安で不安で彼のことを試しまくったけど、それでも変わらずにいてくれたところが。
ちょっとハスキーな声が。
好きなものの話をしてるときのくしゃっとした笑顔が。
ちょっと肉付きのいい身体が。
でも、たぶんこんな回顧じゃだめだ。
春くんや夏くんと話してる時に聞かれた、「前の人とはどうして別れたの?」に、私は何と答えただろう。
その場限りの曖昧な答えでお茶を濁したままじゃ、たぶん先には進めない。
今までは、もう先に進むことはないだろうって思ってた。
私にはそんな資格ないのだと。
あの人がずっと離さずにいてくれた手を、自分から振りほどいてしまった私では、もう誰かの手を求めることなんてできないと思ってた。
そんな私の手をもう一度繋いで、ぎゅっと引っ張ってくれたのは秋さんだった。
思い出してしまった、誰かと手を繋ぐあたたかさを。
あれからずっと、寂しくて仕方ない。
もう一度、手をつなぎたくて仕方ない。
でもそのためには、今のままの私じゃだめだ。
「前の人とはどうして別れたの?」
そして今のわたしは、何を求めているの?
それを明らかにするまでは、きっとまだ手を繋ぐ資格はないままだ。
もう少しだけ。
心の刃を研いで、きちんと斬るものを斬って。
そうしたらきっと、あの人と手を繋げるから。